ポロネーズとは、
フランス語で
「ポーランド風」を意味する。
その起源は、明確ではないが、
17世紀後半から18世紀にかけて宮廷において流行した舞踏音楽であり、
舞踏会の最初に、主賓を先頭にして列を作りながら踊られるものであった。
中庸なテンポの4分の3拍子で、1拍目の後半か2拍目にアクセントを持ち、メロディーがシンコペートされるなど
の特徴がある。
ポロネーズは、
19世紀前半にはその隆盛の頂点を過ぎていたが、
ポーランド生まれのショパンにとってはマズルカとともに親しみの深い音楽で、
7歳のときすでにポロネーズを2曲作曲し、
その後もワルシャワを出るまでに9曲書いている。
しかし、実際にショパンがポロネーズの作曲に精魂を傾けるようになったのは、1831年ワルシャワ陥落の悲報を聞いてからである。
ショパンは、
必ずしも政治的な事柄には関心を持たなかったが、
自分の民族が受けた圧迫には強い怒りを覚え、
また故国のために戦えなかった自分自身へのいらだちが、
ポーランドの民族音楽であるポロネーズをピアノ音楽として確立させたのであった。
それゆえ、ハネカーは、
《戦いの英雄の賛歌》
と呼んだが、
それはあくまでもショパンのポロネーズが、
ポーランドの国民に与えた民族の誇りや勇気のためであって、
すべての曲が英雄的な力強さ持っていたわけではない。
この作曲家特有の抒情性や豊かな音色を持ち、形式的にも展開部のように主題を発展させるなど、他の作品と
比べても彼のピアノ音楽の特徴を豊富に備えている。