ショパンのノクターン第1番-第3番

ノクターン

「ノクターン」という形式は、アイルランド出身のジョン・フィールド(1782-1837)が創作したものと言われている。

J・フィールドは、大変探究心のある作曲家で、また彼自身も優れたピアニストだった。

新しいピアノ音楽を求め、巧みなペダリングを駆使して、パステル画のような輪郭をぼかした音色を作り出し、ベル・カント唱法をピアノに採り入れ、左手の簡素な伴奏に乗せて歌うノクターンを作り出した。

その甘美な旋律と、技巧的に容易なことから、すぐにヨーロッパ中のピアノ愛好家に広まったのである。

ショパンは17歳から他界する3年前に至るまで、ほぼ全生涯に渡って21曲ノクターンを作曲したが、その大半はパリで演奏活動を行うようになってからのものであり、聴衆の求めに応じて数多くの作品を作り出した。

彼のノクターンはフィールドの影響を受けて書かれ、特に初期の作品はその模倣の域から脱しておらず、ところどころに現れる和声や転調などにショパンらしさが伺える程度である。

しかし、中期以降の作品では、フィールドのようなベル・カント唱法のピアノ音楽への導入といった域を越えて、より創造的な新しいピアノ音楽へと発展していった。

ノクターンは、バラード、スケルツォ、あるいは前奏曲集といった作品とは異なり、必ずしもショパンの芸術的欲求の所産とは言えない。

そのほとんどの作品はパリのサロン・ミュージックとして書かれ、比較的演奏が容易なことから、貴族の夫人や令嬢に愛好された。しかしそこには、他の限定された形式にはない彼の素直な情感が込められているのである。

☆第1番 変ロ短調 作品9-1

作品9のノクターン集は、ショパンがワルシャワからパリへの旅の途中で作曲したものである。

パリでのデビューで成功を果たしたショパンは、一躍社交界の寵児となり、貴族の夫人や令嬢の弟子も増え、出版業者も彼の新しい作品の出版を望み始める。

そのような状況のもとに、すでに旅の途中で作曲した「ノクターン集 作品9」が出版されたのだが、たちまちサロンの人気曲になったのである。

第1番は、絶えず左手で繰り返される6連符に乗せて、表情豊かなメロディーを持った第一部と、オクターヴで歌われる甘美な第二部から成る。

有名なのは次の第2番だが、より優れているのは第1番である。

☆第2番 変ホ長調 作品9-2

ショパンのノクターンといえばこの曲を指すほど有名な曲で、いろいろなアレンジによってクラシック音楽愛好家のみならず、広く一般の人々にも知られている。第1番と同様、フィールドの強い影響は否定できないが、親しみやすい感傷的なメロディーが人を惹きける魅力を持つ。

ロンドともとれる形式をとり、冒頭の旋律が姿を変えて繰り返される間に、他の旋律が挿入される。

☆第3番 ロ長調 作品9-3

同じ作品9でありながら前の2曲とは異なり、従来のノクターンから一歩踏み出し、快活性、諧謔性が表面に現れている。規模も拡大され、形式もより複雑となった。

第一部はスケルツァンドと指定され、半音階を生かした主題と叙情的な主題から成る。

続く第二部は2分の2拍子のアジタートに変わり、第一部との対比を明確にしている。

献呈 カミーユ・プレイエル夫人

2000年5月18日 | カテゴリー : classical music | 投稿者 : ☆LOVE☆