シューマン-Schumann-

シューマン-Schumann-

☆子供の情景☆ ☆-作品15-☆

「《子供の情景》は、若い心を保った大人たちのための曲集である。」(K.H.ヴェルナー)

シューマンその人は、1838年の3月18日、クラーラに宛てた手紙で次のように書いている。

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「今、ぼくは音楽いっぱいで張り裂けそうな気がすることがよくあります。
何を作曲したか忘れないうちに書いておきますとーいつかきみはぼくに言ったでしょう。
『ときどき、あなたは子供のように思えます』って。この言葉の余韻のなかで作曲しました。
つまり、きみの言葉がまるで魔法の筆のような働きをして、30ものちっちゃなかわいいやつが書けたのです。
そこから12曲ほど選び出して《子供の情景》と名付けました。
きみもきっと喜んでくれるでしょう。
でも、名ピアニストであることは,忘れて下さいよ。」

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シューマンのピアノ作品全体の中でも,この曲集の芸術的な、あるいは教育的な価値は極めて高いものがある

作品11のピアノ・ソナタから,作品17の幻想曲までの7曲は、押し並べて最高級の作品といえるが、なかでも作品12の《幻想小曲集》と、この作品15とは、激情の嵐に囲まれた静かな孤島のようにまろやかな幻想を保っている

とくに、シューマン自身の評価によれば、《謝肉祭》作品9やピアノ・ソナタなどの<荒々しいやつら>から、作品15以後の形式、内容ともにまとまった性格のものへと自分の様式は円熟していったと考えていたので、この《子供の情景》も《クライスレリアーナ》や《幻想曲》と並ぶ自分の最高傑作のなかにいれていたのだった

この評価は後の世で逆の側に揺れ返したところもあるが、
シューマン在世の時代から前世紀の末にかけて、《子供の情景》はロマン派ピアノ小曲集の模範的な第一の域にさえ推されることが多かった。
作曲家の貢献は、いろいろな尺度ではかることができるが、次の世代に与えるものがどうだったかというのも重要な尺度である
子供のためによい音楽を書くこと、技術だけではない音楽の栄養を次の世代に与えたという点では、チャイコフスキー(1840-1893)もドビュッシー(1862-1918)もシューマンの影響をこうむっている

シューマンの《トロイメライ》(本作品7番)をはじめとして、《子供のためのアルバム》からの《楽しき農夫》などを考えてみても、世界の子供たちで、その恩恵に浴したものの総人口は大変なものがあるだろう

この領域で、シューマンの音楽は、例えばワーグナー(1813-1883)の巨大な楽劇とはまったく別の貢献をなしている

最初に挙げた手紙の内容から、シューマンが初め30点ほどのスケッチをつくり、そこから意にかなうものを選び出したことがわかる

選出の基準は全体の有機的な統一にあっただろう

それは選ばれた諸曲の標題のつながり(―隠れた筋があるような、ないような-)または主題のそれぞれがひとつの統一動機から有機的に導き出されているという事実からも明らかだ

その統一動機は、例えば第1曲の旋律に明らかになっている。

出版は1839年3月ライプツィヒ、ブライトコプフ・ウント・ヘルテル社。
この曲のばあい、スケッチも自筆稿も統一的な形で残存していない

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シューマンを聞きながら
心しずめて

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2000年5月18日 | カテゴリー : classical music | 投稿者 : ☆LOVE☆